ヒトはヒアルロン酸を動物性食品から微量であるが摂取しているにもかかわらず、経口摂敢した場合の生体への影響を中心に検討した。 調理素材として用いるために、ヒアルロン酸の物理的・化学的性質を従来の食物繊維と比較すると、非常に高い粘度を有し、また、食品に添加した場合のテクスチャー特性は優れたものであり、とくに、高齢者に対する"とろみ"材料として有効であった。 ヒアルロン酸の小腸における消化性、糖質代謝・脂質代謝に及ぼす影響を調べた。小腸内に存在する消化酵素では、ヒアルロン酸は分解されず、また、糞への排泄もされないことから、腸内細菌が利用した。 糖質代謝へのヒアルロン酸の影響は、糖付加試験の結果からヒアルロン酸同時摂取が血糖の上昇を抑制した。 脂質代謝への影響については、高コレステロール食にヒアルロン酸を0.5%と2.0%添加し、その有効性を従来の食物繊維と比較した。いずれも血清総コレステロール濃度の上昇を抑制し、しかも、従来の食物繊維よりも少量の添加量で有効性が認められた。この作用はヒアルロン酸添加により、腸内細菌の有用菌であるLactobacillusやBifidovacteriumが増加したことによると推察した。
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