ラット副睾丸由来初代培養脂肪細胞を用いて、シアニジン3-グルコシド(C3G)、アグリコンであるシアニジン(Cy)を投与し、7時間後、24時間後の培地中へのアディポサイトカイン(アディポネクチン及びレプチン)の分泌量、mRNA量を定量した。その結果、Cyの投与によりアディポネクチンの分泌は7時間後、レプチンは7時間、24時間後共に有意に上昇し、mRNA発現量においても有意な上昇が認められた。 そこで、C3Gとして0.2%を含む食餌をC57BL/6マウスへ12週間摂取させた後、副睾丸脂肪組織のアディポネクチンmRNA量を測定したところ、普通食群と比較して有意な上昇が認められたが、この際の血清のアディポネクチン量については変動が見られなかった。 次に脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであり、種々の脂肪細胞特異的遺伝子群の転写因子であるPPARγとその支配下遺伝子として知られているリポプロテインリパーゼ、脂肪酸結合タンパク、UCP2のmRNA発現量をラット脂肪細胞において調べたところ、Cyの投与によりいずれも有意な上昇が認められ、PPARγ自身のmRNA量も約3倍上昇していた。 次にアディポネクチンやレプチンの発現、作用と密接な関わりを持つAMP-activated protein kinaseのアントシアニンによる活性化を検討したところ、C3G、Cyいずれの投与も脂肪細胞においてAMP-activated protein kinaseのリン酸化を促進した。この時の活性化はAMP量の低下に依存しないという新たな事実を明らかにした。現在さらに詳細な機構解析を進めている。
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