研究概要 |
『健康日本21」では生活習慣病対策を最重点課題とし、成人に対して食事や運動について達成すべき目標が設定されているが、子どもに対する目標値はまだない。我々は、子どもの身体活動量と栄養摂取量の両者を同時に測定し、その実態と問題点を明らかにしたいと考え、小学校から高等学校に在籍する広範な児童生徒を対象にした調査を継続している。今回は、農村の子どもの活動量と食生活の実態を知る目的で、過疎化の進む東北地方農村地域の小学校高学年児童(宮城県一迫町立H小学校4〜6年生:32名)を対象に、秋期の休日を含む7日間に、(1)体格;身長、体重を計測 (2)生活時間;主な行動を分単位で調査票に記入 (3)身体活動量;加速度装置付き歩数計を用い、歩数、総消費熱量、運動の消費熱量を測定 (4)栄養摂取量;調査中の3日間(平日1日、休日2日間)につき、一日に摂取した食べ物(食品名と目安量)を調査票に記入を調査し、結果を検討した。 1)肥満傾向児の割合は全国平均を上回り、課外で最も時間を費やしているのはTV、次いで外遊びであった。 2)通学は自転車通学と自家用車送迎が多く、徒歩による通学時間は往復5分(全対象者2分)であった。 3)平均歩数は男子12081歩、女子11370歩であるが、休日歩数は平日の約6割に減少していた。 4)生活活動強度指数と歩数の間に有意な相関(r=0.749,p<0.001)が認められ、生活活動強度指数五の活動量を得るには13178歩、IIIでは21359歩の歩数が必要と推定された。 5)食生活では鉄、カルシウムの不足や肉類、菓子類が多く、野菜類、果実類が少ない等の特徴が見られ、このような傾向は休日に顕著であった。 6)肥満体型児は標準体型児に比べスポーツ実施率が低かった。 以上より、現在では、農村部の小学生においても適度な活動量を確保することは難しく、食生活にも問題があることが明らかになった。
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