研究概要 |
お茶を用いた「煮る」操作による機能性の検討の基礎として、各種の健康茶を用いて腸管におけるスクラーゼ活性阻害により検討した。調理に用いる中で紅茶や桑の葉などは香草的な使われ方や抗菌性を有する面から、また、日本茶では「茶粥」や抹茶風の調理に使用される面から検討した。桑の葉茶、グァバ茶、ヤーコン茶、バナバ茶、かきどおし茶、ギムネム茶、サラシア・オブロンガ茶、タヒボ茶の8種類についてその熱水抽出液を試料として、ラットの門脈によるカテーテル留置法により測定を行なった。また対照として医薬品アカルボースを用いた。桑の葉茶76.2%、グァバ茶28.7%、ヤーコン茶3.1%、バナバ茶5.5%、かきどおし茶4.6%、ギムネム茶効果なし、サラシア・オブロンガ茶39.6%、タヒボ茶効果なしであった。最も阻害活性を示した桑の葉茶熱水抽出液で50%阻害濃度はアカルボースの約5分の1の活性であった。市販の健康茶における活性はこの程度あり、煮る調理法による積極的な使用法として、苦味の利用や加熱濃縮による煮物での利用などについて現在、検討している。緑茶については、強い活性を認め,その阻害活性の有効濃度について、検討中であり、実際の調理における風味を損ねない程度の食品開発を行なっている。また、それぞれの効果の主たる要因にポリフェノール類の関与が推定された。また、シイタケ、くわい、食用菊についても検討をおこなった。これらの中で食用菊にスクラーゼ活性阻害を認め、その成分分離を現在行なっている。
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