食品の調理操作に伴う機能性の発現について、食後の血糖上昇を抑制すると考えられる、スクラーゼ(α-グルコシダーゼ)活性阻害物質の検索およびこの活性物質の調理操作による増減を検討した。対象食品は、各種の健康茶(桑の葉茶、グァバ茶、ヤーコン茶、バナバ茶、ギムネム茶等8種)、シイタケ、ニンジン、ショウガ、ニンニク、カボチャ、ミョウガ、ハクサイ等の食材20数種について検討を行った。健康茶においては、スクラーゼ活性阻害およびラットのカテーテル門脈留置法による測定から、桑の葉茶76.2%、グァバ茶28.7%、サラシオ・オブロンガ茶39.6%で高く、ギムネム茶、タビホ茶では効果がなかった。桑の葉茶の活性は、実際に用いられているアカルボースの約5分の1であった。煮る調理での食材では、ニラの白い茎、ハクサイの芯、ネギの白部の水加温抽出(70℃、20分:真空調理法等への利用を考慮した条件)で強い阻害活性を認めた。また、煮熟後の煮物の再加熱のモデルとしてニンジン、ショウガ、カボチャの抽出液では活性の減少が認められた。分子量分画(セファデックスG-25)によるの結果、これらの阻害活性物質は低分分子画分に複数存在し、加熱処理により増加する食材(ミョウガ等)、低下する食材(ハクサイの葉等)があった。現在のところ各物質の単離、同定にいたっていないが、継続して検討している。また、アルコール抽出(脂溶性成分)による試料も調製しているがα-グルコシダーゼなどの酵素による阻害活性測定では十分に活性評価ができないため、今後さらに脂溶性成分についても検討をすることで薬用酒などでの活性増強についても検討が可能であり、検討している。成分決定後、煮物調理別の加温条件の点から食材別の最適調理条件の設定を行う。
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