本年度、本課題研究の最終年度に当たり、これまでの研究内容のまとめに加え、本研究内容に深く関わる新しい知見を得ることができた。研究内容のまとめについては、松王(研究代表者)は倫理的バックボーンをもつ種々のネットワーク形成の事例分析を核として、ネットワーク論としての情報科学思想(情報共有、価値意識の共有に基づく、知と生産のための自発的ネットワーク形成論)がこれに対してどのように応用可能か、という角度から、これまでの研究のまとめに取り組んだ。一方、研究分担者の淺間は、情報倫理教育の視点から松王の行なった研究内容がどのように実践可能かを、具体的な学習コンテンツ作成をにらみつつ更に押し進めた。両者の研究は、ほぼ目標に近いところ(教育テーマと教育方法の統合)まで進んだ。 また、こうした研究のまとめに加え、本年度、松王が情報科学思想の核として考えている「情報共有を基礎とするネットワーク形成」について、そのホットな事例ともいうべき「地域通貨ネットワーク(特に情報技術を駆使したもの)」に関する最新の情報を、ニューヨークで行われた「21世紀世界地域通貨会議」に参加する中で得ることができた。これは、現代地域通貨の先駆けであるニューヨーク州・イサカ市の調査訪問ー別経費ーにもつながり、本研究のねらいとするところに大きく資するものである。この新たな知見を踏まえて、現在、研究全体のまとめを行っている。
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