研究概要 |
本研究は、今まで、タイと日本の小・中学校の生徒の環境意識調査をして来ており、一見異なって見える環境意識も環境保全行動も、自然環境や社会環境によって、評価を変えるべきであることを明らかにしてきた。すなわち、ゴミ捨ては、即、罪深いこととされている日本と、従来、使わなかった物を捨てれば自然に還っていたタイとでは、ゴミ捨ての意味に基本的な違いが有ることなどである。そこで、次に環境意識と関連する向社会行動との関連性を調査し、この科研費による研究へと続いてきた。 今年度は、昨年度実施した日・タイ環境教育のアンケート(タイ国の小学校5,6年生382名)の整理とその学会発表から始まった。後半は、上記のタイでのデータ数が十分ではなかったため、再確認のアンケート調査をした。日・タイ小中学校16校、計1116名に対し向社会性行動と環境行動の関連性調査を行った。結果としては、向社会性行動と環境行動には、予想したほどでなく、それでも、弱いながらも正の相関があることが証明された。が、タイの多くの子ども達が、ゴミを捨てないと答えたため、予想に反して、日・タイの差は出なかった。これは、既に得られている研究結果とはことなり、タイの学校での環境教育の成果が出ていると考えられる。したがって、実際にゴミを捨てることと、質問されたときに答える答では異なる結果が出るようになったと思われる。が、この証明は今後の課題となった。また、タイの教育改革の中の環境教育がどうのように変遷しようとしているのかを、訪タイ調査した。最後に、タイ教育省教育行政担当者とおよびタイ人共同研究者たちを招聘し、近くの環境関係施設の見学も含めながら環境教育関連討論会を開き、タイ人の研究状況を聞くとともに、タイの環境教育行政の行方、(環境教育を含む)カリキュラム改革の行方を発表してもらって、今後の方針を討論した。
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