研究概要 |
本研究では、現職教師及び教員養成系学部に在学中の教師志望学生が保持する、理科授業に関する知識・思考・信念の実態を明らかにするとともに、現職教師を対象とした研修や教員養成カリキュラムが、理科授業に関する彼らの知識・思考・信念の形成・変容に与える影響について考察することを通して、理科教師の専門的力量の向上を目指した教師教育の改善のための示唆を得ることを目的とした。 本年度は4カ年計画の第2年次であり、まず第1に、日米の教員養成における理科教師の専門的力量向上の取り組みを比較検討するために、アメリカ合衆国で取り組まれている理科教師の専門的力量向上の方策について文献等により把握するとともに,理科の教員養成の実態、特徴、課題について米国で現地調査を行った。その結果、例えばミシガン州立大学では、5年制の教員養成プログラムが実施されており、大学と教育実習およびインターンシップの現場との恒常的な連携が教員養成プログラムにおいて実現され、理論と実践の往還を重視した理科教師の養成が目指されていること等が明らかになった。 次に、第1年次に引き続き、小学校教師の理科授業を観察し、その授業をビデオカメラ等で記録するとともに、理科授業の構想と実践に関する考え等についてインタビュー調査を実施した。さらに、第1年次に調査を実施した教員養成課程の学生の一部を対象として、追跡的な質問紙調査を実施するとともに、教育実習における教壇実習を観察し、ビデオカメラなどを用いて記録した。そして、これらのインタビュー調査の記録の文字化や、質問紙調査の回答結果のコンピュータへの入力等を含めたデータ処理を行い、教師及び教員養成課程で学ぶ学生を対象とした、理科教師としての専門的力量の向上に関する基礎データを得た。その上で、これらのデータの分析を行い、3年次以降の研究のための視点を整理し設定した。
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