東京都・兵庫県の保育所・幼稚園1600園を対象とした質問紙調査を実施し、分析を進めた。その結果、園庭や地域の環境の実態にかかわらず、保育者が意図的に自然との関わりを活動の中に含まれるよう環境や活動を考えていることがわかった。しかし、そこで見られる活動内容や環境設定は従来の自然との関わりと大差はなく、自然の循環性や多様性を意識した内容などはまだあまり検討されていないことが明らかになった。また、幼保・公私のカテゴリー別にみてみると、多くの点で公立幼稚園の実態が高く評価できた。今後、自然体験プログラム等のノウハウが蓄積すれば、保育現場が受け入れる余地は十分にあると考えられ、期待が持てた。 環境教育実践施設キープ自然学校における幼児対象自然キャンプでは、3年間の継続実施の過程で、幼児対象のプログラムは原則的にフリープログラムが有効であることが確認できた。しかし、そこには保育者、あるいは、関係する大人のかかわり方が重要であり、子ども観・保育観を共有しながら、子どもが自主的に遊びを創出していく過程を援助する役割に徹する必要性が確認できた。また、子どもが森の中で活動する内容には単に自然体験だけの枠に留まらない多様な経験があり、子どもの総合的な発達の全ての部分に関わる場を提供していると考えられた。その上に、自然の中ではそこでしかできない体験も含まれることから、自然との関わりが発達に寄与するものが再確認できたといえる。今後は、保育者に向けてこれらの活動の意義を啓発していく必要が感じられた。最終年度には、同様の活動をしている他団体と、保育現場の教員を交えてまとめの研究会を実施した.各実践者とも自然との関わりの価値を認めそこに子どもの多様な育ちの場認めているが、それを言語化していくこと、また、親にどう向き合っていくかが課題であると確認できた。
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