研究課題/領域番号 |
15500609
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育工学
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 順人 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (30111090)
|
研究分担者 |
細野 千春 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (20108294)
水谷 哲也 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (70209758)
西岡 知之 筑波技術大学, 産業技術学部・産業情報学科, 助教授 (70310191)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 聴覚障害学生 / プログラミング教育 / Hyperlogo / 情報提示 / 言語レベル / モデル化能力 |
研究概要 |
プログラミング言語Cの初学者である聴覚障害学生に対して、計算機命令の逐次実行、条件分岐、(while文による)繰り返しなどの基本制御構造の理解状況を把握するためのテスト方法を考案し、筑波技術短期大学の学生(聴覚障害者)および一般の短大生(健聴者)を被験者としてテストを実施した。その結果、聴覚障害学生は、プログラミング言語そのものについての理解が不十分であるだけでなく、題材をモデル化する能力が欠如していることがわかった。さらに、学習過程で提示された構文パターンをそのまま記憶する傾向が強く、制御構造そのものについての理解が必ずしも深まっていないことが確認された。以上のように、聴覚障害者がプログラミングのための抽象概念を習得する際のメンタルモデルに関する知見の一端が得られた。これにより、聴覚障害者へのプログラミング教育におけるより適切・効率的な学習方法を開発することが可能になると期待される。さらに、聴覚障害者特有の思考方法の一端が明らかになり、高度の抽象概念の習得が必要な数学などの他の高等教育についてもより良い学習方法を提案できることが見込まれよう。 また、実験に用いられるプログラミング言語Hyperlogoに関しては、以下のような再構築を行った。まず、関数型言語の最新の研究成果を参考に構文を再設計し、これによりアルゴリズム記述性、プログラムの可読性が高まった。新しい構文に合わせて表示的意味論に基づくHyperlogoの数学的計算モデルを新たに考察し得た。厳密な計算モデルを持つことで、Hyperlogoプログラムの正当性の検証やプログラム変換による実行時最適化の実現が期待される。こうして改良されたHyperlogo言語は、数学的意味論に裏打ちされた高階性を持ち、プログラミングの抽象概念の学習に十分に適用可能な構文の豊かさ・実行速度を持った学習用プログラミング言語となり得た。
|