研究課題
基盤研究(C)
ポートフォリオ評価は、我が国では、新しい評価方法である。総合的学習を中心に適用されてきた経緯がある。そこで、本研究では、その評価方法の適用・拡大可能性を実証的に確かめようとした。その研究の特色としては、新しい領域であり、「教育研究」という点から、実際に教育実践づくりを行いながら進めていくという「開発的アプローチ」を採る必要があった。次に、その成果を報告しておこう。第1には、初年度は、ポートフォリオ先進国のアメリカでのデジタルポートフォリオについての現状や理論をstanford大学の研究所を訪問し、明らかにしようとした。現状としては、あまり進んでいないことが明らかになった。第2には、デジタル化の方法について、作成のためのシステムとWEB上での可能性等を検討した。まだ、試行的な性格のものではあるが、研究協力者によってA大学で開発され、運用されたweb上の教師と生徒とのE-learningを介した「PBDスペース」の開発と実践についても、明らかにした。第3には、小学校の「国語科」での一年間追跡研究をし、子ども達が自分の考えを「個人新聞づくり」という形でdejital Portforioにまとめ、データベース化していく過程と、そのポートフォリオを授業の中に生かして、発表や表現に活用していく授業過程での活用の可能性について実践的アプローチを通して探究しまとめた。第4には、高等教育段階でのポートフォリオの実践可能性について、ミシガン大学の教職大学院で実践されている「教師の成長」という観点からの大学の学びの過程での専門職ポートフォリオづくりについて、実物のポートフォリオを分析・検討しながら、その「評価基準」や「評価方法」について明らかにしていった。こうしたことから、ポートフォリオが本来、「学習者の成長や学びの時系列的な記録・足跡」であることから、その適用範囲は「生涯」に渡ってまで可能性があり、デジタル化することによって、時空間を超えて広がっていく可能性を持つことが明らかになった。ただ、今後の課題としては、評価に活用していくという観点から考えると、「評価基準」をそれぞれの学習領域や発達段階で明らかにしながら活用することが望まれる。
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愛知教育大学研究報告 教育科学編 55巻
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