1 14年度パイロット・スタディの分析:学習者のレディネスを調査した結果、朗読は発音が明確であれば、スピードはナチュラルスピードに近いものの方が学習者の目的に適っていることがわかった。 また、学習環境については、CDが最も学習者の物理的な環境に合っているという回答が多かった。 2 聴解練習教材の開発:まず初級レベル12課分、中級後期レベル16課分の読み物を用意し、その朗読をCDに吹き込んだ。初級レベルは、ナチュラルスピードに近いが語の発音は一つ一つがはっきり聞こえるように読んだ。またポーズはできるだけ数多く入れた。中級後期レベルは語の発音は明確だが速度はナチュラルスピードで、ポーズも日本人が聞いて不自然でない程度とした。練習問題は、初級では内容を確認するもの、中級後期では聞いた語の音の確認(長音、濁音、音訓等)と内容を確認するものを作成した。 3 開発した教材を使った試行授業の実施:CDを学生に配付し、クラスでのCDを使った練習の復習が自宅でもできるようにした。クラスでは読み物を読んだ後、CDを聞き内容が理解できるかという部分から試行を始めた。 CDの使用に関する学習者のアンケートの回答から、初級(9名)では漢字語彙学習に字の読み書きだけではない様々な勉強方法がある(例えば聞きながら漢字を思い浮かべる、読み方を学習する)とのコメントが多かった。また中級後期(14名)では、発音の矯正に役立つ、内容理解が単に読みだけより容易になったなどの回答が多く、漢字語彙学習においてCDが支援教材として十分使用にたえるという感触を得た。
|