研究概要 |
本研究は,eラーニング基礎理論としての教授システム論の内容整理と教材化を目的として実施した。より具体的には,研究期間(3年間)で,大学院レベルの基礎講義2単位3科目(基礎論・管理論・設計論)に相当するシラバスを作成し,試験的に実施する講義を核としたeラーニング教材(VOD方式)を1科目分開発した。この講義ならびにeラーニング教材を企画・制作する過程において,米国を中心に研究が進んでいる教授システム論の最先端の研究成果を整理し,日本において台頭しつつあるeラーニングの基礎理論として整備・提供する準備を整えた。試験的に実施した講義は,SCS経由で公開すること等で社会人大学院生を含む幅広い層に受講・参画してもらい,内容と教授方法の社会的妥当性並びに方法論的実効性を確保した。半年後に追跡調査を行い,講座の教育効果を確認した。社会人向けの公開講座(日本イーラーニングコンソシアム主催)及び大学院講義として,本研究の成果を生かした実践に取り組んだ。「eラーニング基礎論」は,eラーニング教材の発注者として複数の提案を受けた時に,教材としての有効性や実施可能性等の観点からベストソリューションが選択できる程度に,教授システム論上の基盤に実践するためのプロセスを追体験するシナリオ型教材として,GBS理論を基に設計・開発した。「eラーニング設計論」は,eラーニングの開発組織が留意すべき点を理論に基づいて点検できることを目指した事例分析・試作支援型の教材として設計・開発した。3つの科目をつなげるための今後の研究の方向性を探る観点から,ストーリー中心のカリキュラム(SCC)の先行事例を調査した。
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