本研究の概要は、次の3点である。 1)正統的周辺参加論の視点から見た支援ボランティアスタッフの関係性について 創造的なワークショップに定期的に参加している支援ボランティアスタッフが、ワークショップの意図の理解やワークショップの実行システムへの慣れが進むに従って、始めは周辺の仕事を手伝っていた支援ボランティアスタッフが回を重ねていくなかで、主催しているNPO職員との関係性の中に、当事者意識が強く見られるようになっていくことを調査していった。その関係性の特徴をあきらかにしていくために、エスノグラフィー的な手法で、調査者がNPO職員という立場であることを利用した「参与観察」を実施していった。 2)NPO職員と支援ボランティアスタッフによる共同体形成について 創造的なワークショップを実践しているNPOでは、支援ボランティアと職員間でさまざまなワークショップを実施していく過程で、バックステージのコミュニティを意識化していくことの必要性が共有化されていった。このことをコミュニティ・オブ・プラクティスの視点を踏まえて、再構成していった。 3)自己理解の深化の関係と共同体形成について 創造的なワークショップでは、参加者に作品制作の過程を可視化していくことと、それを利用して自らを内省する経験をすることを中核にしていき、思考の外在化の可能性を共有している。この参加者の内省を支援するボランティアスタッフの取り組み方が共同体の形成にしたがって定型化していくことに着目して、共同体が持つ文化の影響について、その意味についても含めて検討した。
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