平成16年度は理論的研究をもとに、進路決定の条件を明らかにし、システムの試作を行った。まず、理論的研究から導かれた進路決定への動機づけと関連すると予想される課題の認知の条件として次のことがあげられた。特に重要と考えられるのは、「責任性」「目的意識性」「時間的制約」である。そこで、これらの条件が進路決定の状況とどのように関連しているのかを調べるために、アンケート調査を行った。その結果、これらの条件は「関心度」と強く関連しており、さらに、その関心度は進路決定の程度と関連していることがわかった。 次に、進路決定の学習のためのプログラムを作成した。特に、進路決定のシミュレーションを行うプロセスを学習するプログラムである。それは日常の意思決定のプロセスをまず学習し、その後、進路決定との違いを理解し、将来の進路の候補を予測し、その候補を選択条件を用いてその望ましさを評価し、最後に選択肢の候補ごとの期待効用を算出するものである。そこから、自分にとってもっとも望ましい選択肢を考えていくのである。 この学習プログラムは、大学のe-LearningシステムのWebCT上に実現され、そのいくつかは実際に授業の中で使用した。この学習プログラムには進路決定の家庭を学習し、シミュレーションを行うステップはあるが、その学習の結果を評価(セルフテストなど)するためのステップがないため、今後はこの点について改善していく予定である。
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