研究概要 |
本研究は天文教育における学習支援を実施する母体として専門家・教師・児童生徒が参加する「インターネットを用いた学びの共同体(Collaboration for Learning with the Internet : CLI)」を構築し,その効果を評価することを目的としている.具体的には,天文教育・普及に関する実践共同体(PAONET,スター・ウィーク,君天,ジュニアセッション,高校生同時観測会,JAHOU, LIVE! UNIVERSE等)をCLI化を前提に再編成を試みる.また,その作業を通じて明らかになるであろうCLI標準化における課題を整理し,学校教育支援のための共同体としての一般的化されたCLIのあり方を考察する. 具体的な研究内容として,(1)支援する専門家,教師・児童・生徒の三者にとって有効な共同体のあり方(目的・組織)の検討(2)三者が共通で利用可能なインターネットツールの開発(特に遠隔授業ツール),(3)家庭学習・生涯学習との効果的な連携の検討の3つを掲げたが,研究の前半にあたる平成15年度はそれぞれについて次のような成果を得ることができた. (1)天文学の普及・教育に関して先進的な事例を調査し,それぞれの共同体の特徴を明らかにするとともに、それらの緩やかな結合を目指した.この過程で共同体形成におけるIT活用の特徴も明らかになった.(天文月報2004年2〜3月号に9本の特集記事を掲載) (2)すばる望遠鏡FITS天体画像解析ソフトウエア「makalii」(日本語版,英語版)を開発し,海外と国内に頒布した.現在高校や生涯学習施設を中心に200名のユーザーがおり,教育効果について調査中である. (3)8月に「マーズウィーク」,11月に「ワークショップ21世紀型科学教育の創造」,1月に「科学教育フォーラム2004」と新たな枠組みを目指した共同体事業を行い,それぞれ成果を得ることが出来た.
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