平成16年度は、前年度の準備研究を基礎に、本格研究に着手した。具体的には、前年度に収集した研究論文および資料の分析を進めるとともに、平成16年10月16日より27日まで、パリ国立公文書館およびロンドン科学博物館図書館に出張し、収蔵文献の追加的収集を行った。特に、パリ国立公文書館での調査では、フックのヘヴェリウス宛の書簡に付された望遠鏡の図を直接手にして、構造の詳細を知ることができた。これは他の実験機器のフックの望遠鏡への影響を知るのに有益であった。 なお、これまでの文献収集、およびその過程での関連研究者との情報交換の結果として、研究の実施について一定の方針変更が必要であることが明らかになった。一つは、グリニッジ天文台に収蔵されている実験機器を実地で分析することは、3年間の研究で遂行するのには過大であり、すでに同天文台が刊行している研究者向けデータブックを参照する方が、フックの実験機器と当時の他の機器との関係を知るのに望ましいと言うことである。もう一つは、ロンドン科学博物館および同図書館の収蔵資料による分析が予想以上に有効であるということである。これら事実の理解に.よって、とりまとめに向けた研究の実施の方向性がいっそう明らかになった。
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