研究課題/領域番号 |
15500675
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
川本 耕三 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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研究分担者 |
石井 里佳 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30250351)
中越 正子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40280838)
江野 朋子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90342998)
中村 晋也 金沢学院大学, 美術文化学部文化財学科, 講師 (10301003)
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キーワード | 接着剤 / 含浸 / 充填剤 / 示差熱 / 3点曲げ試験 / 土器 / 民俗文化財 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、シート状に硬化させた接着剤を含浸薬剤・溶剤に一定時間浸漬し、温度変化に伴う熱力学的・物理的な性質がどのように変化するかを示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所製DTG-60)によって測定し、強度変化との相関の評価を試みた。加えて、フーリエ変換型赤外吸収分光光度計(日本電子製JIR-6000)で測定し、強度変化がどの成分に起因するものか考察した。 接着剤:ハイスーパー30分型 溶剤:エタノール、アセトン、キシレン、酢酸エチル、L-559、水 その結果、エタノール・アセトン・キシレンに浸漬した試料のガラス転移温度は不明瞭であること。純水浸漬試料のガラス転移温度は未処理と比べ2〜3℃低いこと、赤外吸収曲線には差が見られなかったことがわかった。 次に、保存処理した出土土器・民俗文化財の接着性に及ぼす処理薬剤の影響を調べるため、擬似遺物を接着し、オートグラフ(島津製作所製AGS-H)を用いて力学的試験(3点曲げ試験)を行った。 出土土器擬似試料による試験 接着剤:セメダインC、木工用ボンド、ハイスーパー5、同30 薬剤:パラロイドB-72 従来、土器の接着に従来よく用いられたセメダインC、木工用ボンドは、ハイスーパー5、30より弱い。しかし、ハイスーパー5、30は柔軟性が乏しいため、修復の際に形状の歪みを吸収しにくいことも考えられる。 また、セメダインCで接着した出土土器擬似試料をパラロイドB-72に含浸すると強度が大幅に向上した。 民俗文化財擬似試料による試験 接着剤:三千本膠、アルテコ、セメダイン3000、木工用ボンド、ハイスーパー5、同30、アラルダイト2011、同ラピッド 補填剤:ハイスーパー30+ガラスマイクロバルーン(1+1) 溶剤等:エタノール、キシレン、酢酸エチル、アセトン、文化財用防虫防黴剤、水 シアノアクリレート系接着剤は多くが母材に吸収され、接着強度が小さい。エポキシ樹脂は接着強度が大きい。三千本膠は接着強度が小さいが、母材を傷めずに破断するため資料への負担が軽いことがわかった。
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