研究概要 |
ジャック・ベルタン氏の視覚コミュニケーションの観点から、グラフィックスの目的は、論理を可視化することと考える。グラフィックスで人に伝えたいことは以下の3つの関係となる。 ・割合(量/全順序を表現) ・順序(量は表現しないが、半順序を表現) ・類似性(違い/同一性を表現) 悪いグラフィック表現とは、もともと伝えたい上記の関係をうまく伝えられない表現になっていると見なすことができる。本研究では、人あるいはGISが生成したSVC(Scalable Vector Graphics)地図を対象として、上記の3つの関係を機械的に抽出して、地図学における常識と異なる例や利用者の意図と異なる例などの不適切なグラフィック表現を検出し、修正案を提示できる機構を理論的に体系化する。また、実際にソフトウェア開発を行い、我々の理論の正当性を検証する。 本年度は、SVGで作られた地図に対して、グラフィックス論理を実現するための3つの関係(割合、順序、類似性)をチェックする枠組みを提案した.研究内容としては、この研究課題が本質的に困難な内容を含んでいる一方で、素朴で単純な規則でも、グラフィック表現を良くできる可能性もある。つまり、本研究の最終成果物となるMap Checkerでは、地図をチェックできるレベルにもさまざまなものがあり,Map Checkerの構成要素となる部品的なツールから,Map Checkerの拡張や高機能なものまで考えられる。まずは、これらの展開のレベルを、段階的なソフトウェア・ツールに名前を付けて整理した。現段階では、以下の4つの段階的なモジュールが存在すると考えられ、これらのモジュールの基本要素と振る舞い、そして、モジュール間の関係を整理した。Map AnalyzerとMap Synthesizerのプロトタイプも実装した。 [Map Checkerの段階的ソフトウェア・ツール・モジュール] 1.Map Analyzer(地図解析モジュール) 2.Map Synthesizer(地図合成モジュール) 3.Map Articulator(地図分節化モジュール) 4.Map Corrector(地図修正モジュール)
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