地球上の火山の地形発達を明らかにし、それをもとに多様な火山体を分類し、その多様性・地域性の原因を探る研究を20年間継続してきたが、エチオピアの火山に関する本研究はその一環である。購入した地形図・空中写真をもとにエチオピア火山約70個(区分の仕方で若干数変動)について地形分類図を作成、個々の火山の認定に始まり、火山体の種類・規模・構成物・構造・発達史・形成年代に関する情報を得て、それらと地殻構造・構造運動などとの関係を既存の文献などからの情報を加味して推定することを試みている。その結果これまでに明らかになったことを略述する。 エチオピアの第四紀火山はAfar三角帯の地溝部と南に続くエチオピア裂谷の中に分布し、溶岩原・楯状火山・成層火山・カルデラ火山・スコリア丘火山・溶岩ドーム火山がすべて存在するという多様性を示す。紅海が開いて形成されたAfar三角帯の火山は玄武岩質の溶岩を主とする溶岩原が広く分布し、その上に楯状火山・スコリア丘、ときには流紋岩質の溶岩ドームが形成される。Afar三角帯の中でも大陸地殻が下部に内在すると見られるだダナキル山地域では安山岩質の成層火山が数個認められる。南のエチオピア裂谷中では成層火山・カルデラ火山が卓越し、それに混在して溶岩原・楯状火山が稀に認められる。カルデラ火山は直径10-20kmのカルデラをもち、周囲に広い火砕流台地を形成している地形的に明瞭なものは6個数えられる。それぞれから数回にわたって大量の火砕流が噴出したことが推定されるが、詳細は不明である。裂谷特有の複数の正断層崖に切られて、これらの火山の原型は変形し、あるいは大量の火砕流堆積物の下に埋没してわからなくなっているカルデラ火山はかなりの数にのぼると考えられる。裂谷底は標高2000mを超え、地下にかなりの厚さをもつ地殻が存在し、カルデラ火山の形成に関与していると推測される。
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