研究概要 |
世界の火山の地形発達を明らかにし、それをもとに火山体を分類、その多様性・地域性の原因を探る研究を20年以上に渡って継続してきたが、本研究はその一環である。エチオピアの火山体の研究は、先年度までにアファー三角帯、エチオピア裂谷内に、溶岩原、楯状火山、成層火山、カルデラ火山、スコリア丘火山、溶岩ドーム火山のすべてが存在すること、地殻が薄いとされているアファー三角帯では溶岩原・楯状火山が卓越、地殻が厚いと考えられるエチオピア裂谷内では成層火山・カルデラ火山が卓越することなどを明らかにした。しかし、空中写真の購入が遅かったため、その判読の時間的余裕がなく、十分な活用がはかれなかった。 本年度は、新たに購入した空中写真・地形図も合わせ、その解析がなされたため、かなり詳細なデータが数多く得られた。アファー三角帯地溝部ではErta Aleなどの苦鉄質マグマ活動による溶岩原、楯状火山が卓越し、活動中のピットクレーターの存在など、ハワイ島の火山と酷似する地形・構造を示す。アファー三角帯の紅海沿岸からダナキル山地を横断して一直線上の連なるDubbi,Oumaなど7火山は紅海に近いほど溶岩原的性質が顕著で、ダナキル山地を横断する場所では、成層火山の特徴が明瞭に表れる。これは地殻の厚さが火山体の特徴に大きな影響をあたえていることを強く示唆する。エチオピア裂谷内では、成層火山・カルデラ火山が卓越することがより詳細に明らかにされた。アファー三角帯とエチオピア裂谷の漸移地帯では成層火山に近い楯状火山、溶岩湖が陥没したカルデラと成層火山、溶岩ドーム・スコリア丘火山が混在する多様な火山地形が認められる。
|