研究概要 |
本研究は,混住化地域における人口減少とそれに伴う地域問題を"ラーバンデクライン(Rurban Decline)"と呼称し,首都圏を主たる研究対象地域として,人口減少に転じた混住化地域の空間的特性の把握,人口減少に伴う地域問題の実態,計画課題の抽出及び地域政策上の対応について基礎的知見を得るものである. 平成16年度では,以下の(1),(2)を中心に調査・分析を進めている. (1)首都圏における人口減少市町村の分布特性把握 平成15年度に構築した,混住化動向を示す指標群からなる首都圏100km圏市町村データベース(2000年ベース)に,1980年,1990年時のデータを加えて,長期的な人口動態傾向と人口減少市町村の空間分布について分析を行った. 分析では,混住化最盛期である1980年時における混住化動向を表現する指標(集落内非農家率,非農家集団率,人口増加率)から,各市町村を,農村的類型,混住類型(非農家化型,個別来住型,農村団地型),都市的類型の5タイプの地域類型に区分し,社会経済状況や空間変容(土地利用)を示す指標による分散分析を行うことで,地域類型と類型の特性,類型の時系列的変容動向,類型間の関係性を明らかにした. (2)ラーバンデクライン地域の空間分布特性と地域計画的課題の抽出 (1)の検討を基に,混住類型,特に個別来住型における地域計画的課題について,地域の人口・社会経済・空間の変容動向を示す指標を用いた多変量解析,事例市町村(茨城県S町)の現地観察調査,行政担当者へのヒアリングから抽出を試みた.また課題を踏まえてラーバンデクラインの発生する地域,大都市圏構造との関係から,発生の要因について考察した. さらに,茨城県S町で実施されてきた,居住者属性,生活・居住環境評価,地域交流,コミュニティ意識の項目からなる住民アンケート調査から,抽出された地域課題への対応を検討した.
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