研究概要 |
平成15年度の研究実績は以下の通りである。 1.高知県安芸郡馬路村のユズ加工とその直売による山村の活性化-馬路村は四国南東部にある国有林の卓越する山村であり、住民の大部分は国有林に依存して生計を維持していた。長びく林業の不振から村は住民にユズの栽培を奨励し、そのユズを農協が加工し、通信販売等で直売し、今日売上高30億円余を誇るに至った。売上高が急速に伸びたのは、都市の消費者に方言まるだしの宣伝を行い、都市住民のふるさと志向をくすぐったことにある。山村は大いに活性化したが、今後の課題な村内でのユズ原料確保にあるといえる。 2.和歌山県南部川村のウメ加工とその直売による山村の活性化-南部川村は、県中部の山村であり、日本一のウメ産地として有名である。農家はウメの栽培と塩漬を行い、それを村内の仲買人に売却する。仲買人は品質別に細区分し、村内の二次加工業者に出荷する。二次加工業者はウメ干しに味付けを施し、都市の消費者に直売したり、都市の問屋等に出荷する。村内で農家・仲買人・二次加工業者がウメの付加価値を高めるシステムを構築しており、それが山村の活性化に反映している。ウメの販売高が1,000万円をこえる農家もあり、専業農家率はきわめて高い。 3.岩手県北部山村の雑穀の直売による山村の活性化-岩手県北部の二戸市・軽米町などはヤマセの吹きすさぶところであり、冷害の常襲地として知られる。この地域は冷害に強いヒエなどの生産の盛んな地域であった。その雑穀は、現在健康食品として都市住民に注目されるようになってきた。二戸市や軽米町では雑穀の直売で山村の活性化を計っており注目されている。自治体や農協の主導ではなく、農家や雑穀販売業者が主体となって、直売事業を展開しているところに、特色を有する。
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