研究課題
平成16年度、海産エビ類の一種イソスジエビPalaemon pacificusを2300年の大気中CO_2濃度の予想値である1900ppmに平衡させた海水中で15週間飼育したところ、斃死率の上昇と成長の抑制が見られた。そこで本研究では、2100年の予想最高CO_2(1000ppm)環境下で本種の長期曝露実験を行い、1900ppm条件下での実験結果と比較した。CO_2曝露18週間経過時点で両区の生残、全長、頭胸甲長、摂餌量に有意差は見られなかった(t-test、p>0.05)。しかし、19週間目に実験区で2個体が斃死した。曝露期間が延長するにつれて、CO_2区の個体の脱皮間隔が対照区と比較して有意に短くなってきた。さらにCO_2区の抱卵個体が対照区よりも少ない傾向が見られるようになった。また、飼育期間中の海水pHは実験区の値(7.87±0.05)は対照区の値(8.15±0.04)(S.D.)と比べて有意に低くなった(t-test、p<0.05)が、Ca^<2+>濃度(22.2±5.28、21.0±5.40mEq/L)(t-test、p>0.05)及びアルカリ度(2.25、2.27mEq/L)に差はなかった。淡水は海水よりイオン濃度が低いため、CO_2濃度上昇による影響が淡水産生物でより強く現れる可能性が考えられる。本年度は、CO_2が淡水産エビ類の一種であるミナミヌマエビの成長及び生残に与える影響についても調査した。18週間曝露実験を行ったが、実験終了時の生残率(Log-Lank検定p>0.05)、体長及び頭胸甲長、両区の摂餌量(二元配置分散分析P>0.05)、脱皮間隔(t検定p>0.05)は有意差がなかった。しかし、対照区で20個体中4個体の斃死が見られたのに対して、CO_2区では8個体が死亡しており、この点についてはさらに検討する必要がある。
すべて 2005
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J. Geophys. Res. - Oceans 110
ページ: C09S09,doi : 10.1029/2004J C002564