研究概要 |
全国散居村連絡協議会に参加する6市町(北海道栗沢町,岩手県胆沢町,山形県飯豊町,富山県砺波市,静岡県大井川町,島根県斐川町)において,次の事柄について調査した。 1.砺波市にて行われた「全国散居村サミット」に参加し,それぞれの市町がおかれている現状や将来ビジョンを把握し,散居村の持つ問題点や環境資源の有無などをまとめた。 2.上記のうちの5市町において,屋敷林を持つ4〜14世帯を対象に統一したフォーマットによる聞き取り調査を行い,屋敷林の具体的な管理手法や日常生活における存在意義を明らかにするとともに,高齢化・核家族化が屋敷林の存続上,大きな課題となっている点を把握した。 3.空中写真や大縮尺地形図を判読し,散居の現状や屋敷林の規模,景観的な特徴を明らかにするとともに屋敷林の類型化や分布図の作成を行った結果,農村地域での基盤整備による散居の明瞭化,都市近郊地域での都市化による散居の不明瞭化がそれぞれ進行し,屋敷林の単調化を確認した。 4.2と同じ屋敷において,屋敷内の平面図の作成と生育植物のリストアップ,植物社会学的植生調査を行い,屋敷林の構造を明らかにした結果,植栽された樹木に共通種があるものの,それ以外は植生帯の違いによる出現種の相違が確認された。 5.これらの研究成果に基づき,平成16年2月1日に岩手県胆沢町において農村自然再生シンポジウムを開催し,講演と討論会を行うとともに,胆沢生涯学習フェスティバルなどで研究成果を公表した。さらに平成16年度に計画している環境教育を主体とした「屋敷林の保存・利用モデル」を策定した。
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