研究概要 |
Imaging Plate(IP)を大線量被ばく用線量計として応用開発し、Interventional Radiology(IVR)術技時の患者被ばく線量及び空間線量評価法の確立を行い、以下の成果を得た。 1.大線量下で使用されたIPを市販読み取り装置で簡便に読み取ることのできる2つの方法、セロハン法とアニール法を開発し、測定上限を通常の読取り法より5〜6桁大線量側に延ばすことを可能にした。本法により、X線に対して、BAS-TRのダイナミックレンジの上限は100Gy程度、直線性は10Gyあたりまであることを明らかにした。 2.IPの線質特性及び方向特性についての検討を行った。IVR術技で使用される管電圧60〜120kVの間でX線装置によっては13〜33%の感度差が認められ、正確な線量評価を行うには、術技中の平均管電圧を求めることが必要であった。方向特性については、-90°,+90°を除いて±75°までは、いずれの管電圧でも入射角度による有意差は認められなかった。 3.臨床例での患者入射皮膚線量(entrance skin dose, ESD)測定を行った。IPを挿み込むコルセットを作製し、患者の身体に沿わせることで体側でのgeometric errorを最小限にした。同時にガラス線量計(GD-302M)による測定を行い、両者の値の比較検討を行った。同位置でのIPとガラス線量計によるESD線量評価値は、広いレンジにわたり良い相関を示していたが、ガラス線量計では長軸方向からの入射放射線に対し低エネルギーになるほどレスポンスが低下する特性をもつため、ほぼすべての箇所でガラス線量計による評価値の方が低い値を示した。 4.金属フィルターをつけたIPを用いることで、散乱線のエネルギー情報を必要とせず空間線量の算出が可能であり、IVR室内の任意の箇所又は期間での散乱X線による空間線量測定を簡便に行えることを示した。
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