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2004 年度 実績報告書

酸化DNA損傷を修復する新しい酵素群の役割分担と多様性の意義

研究課題

研究課題/領域番号 15510039
研究機関東北大学

研究代表者

高尾 雅  東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (70216612)

キーワード活性酸素 / DNA修復 / 塩基除去修復 / 老化 / 発がん / DNA glycosylase
研究概要

放射線や細胞の呼吸の副産物として生じる活性酸素は老化や発がんのリスクファクターとして広く認識されている。それは活性酸素がDNAを酸化し、その酸化DNAが修復を免れて蓄積したり、その結果突然変異が誘起されるからと考えられる。酸化DNAの主要な修復系は、「DNAグリコシラーゼ」の開始する塩基除去修復である。しかし、DNAグリコシラーゼがどれほど老化や発がんの抑制に寄与しているかはよくわかっていない。というのも、主要なグリコシラーゼ、OGG1やNTH1のノックアウトマウスでは顕著な表現型が現れないからである。
われわれは、バクテリア類に広く分布しているグリコシラーゼであるNei、Fpgファミリーに類似する哺乳類グリコシラーゼとしてNEIL1、NEIL2を発見し、NEIL1とNTH1の基質が互いに重複することを示してきた。更にTGG1、TGG2と名づけたグリコシラーゼの存在も生化学的に確認し、その特徴づけを行ってきた。TGG1、TGG2の遺伝子の同定には至らなかったが、これらが既知のグリコシラーゼとは別の分子種であることを示した。次に、第三のNei-like遺伝子であるNEIL3を単離し、このタンパク質の機能解析を進めた。その結果、NEIL3は(1)Fpg、Neiファミリーと同様にAPリアーゼの活性を持つこと、(2)その活性は一本鎖DNAに特異的であること、(3)ある種の一本鎖上の酸化損傷に対してDNAグリコシラーゼとして働くこと、等のin vitroの知見を得た。更にNEIL3の発現に組織特異性があることや、in vivoでも修復酵素としての役割があることを検証した。これらのことから、酸化DNA損傷に対する哺乳類塩基除去修復系は多様なDNAグリコシラーゼがお互いにバックアップしあうと同時に、NEIL3には特異な性質が備わることなどから、未だ知られていない修復過程がありうることも示唆した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] DNA glycosylase activites for thymine residues oxidized in the methyl group are functions of the hNEIL1 and hNTH1 enzymes in human cells2005

    • 著者名/発表者名
      Zhang Q.M.et al.
    • 雑誌名

      DNA Repair 4・1

      ページ: 71-79

  • [雑誌論文] UV light-induced DNA damage and tolerance for the survival of nucleotide excision repair-deficient human cells2004

    • 著者名/発表者名
      Nakajima S. et al.
    • 雑誌名

      J Biol Chem. 279・45

      ページ: 46674-46677

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Functional and physical interactions between ERCC1 and MSH2 complexes for resistance to cis-diamminedichloroplatinum(II) in mammalian cells2004

    • 著者名/発表者名
      Lan L.et al.
    • 雑誌名

      DNA Repair 3・2

      ページ: 135-143

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] In situ analysis of repair processes for oxidative DNA damage in mammalian cells2004

    • 著者名/発表者名
      Lan L.et al.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A 101・38

      ページ: 13738-13743

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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