前年度までの研究成果を踏まえて今年度においては以下の研究実績を収めることができた。 1)前年度に引き続き、血管内治療を行い、その際線量測定を施行した患者に対して。外来において頭皮、水晶体、検査所見等の追跡調査を施行した。また血管内治療術者に対しても、血液検査、水晶体検査を施行した。同様に、ガラス線量計を顔面、前頚部、体幹部、上肢において被曝を測定したが、現在までのところ通常の脳血管内治療では術者の被曝は極めて低いことが明らかになった。 2)現在までの被曝線量測定により、白内障を予防するためには眼球、特に水晶体の被曝を低減する必要が強く示唆されたため、血管造影装置に付加する局所被曝低減装置を開発中した(特願2005-39556)。さらに、平成17年度には、このエックス線遮蔽装置に対して、遮蔽部分を自動追尾する機構を研究開発し、本改良点を含めて国際出願(PCT国際出願)した。今後はこの自動追尾機構を備えた試作機を実際の血管造影装置に搭載して、眼球部分の遮蔽性能を確認する予定である。 3)さらに、放射線被曝による発癌や白内障の発生の危険が長期にわたり継続するため、将来的には頭頚部血管内治療を施行した全例で局所被曝測定が必須になることが予想された。そこで、簡便に頭頚部の被曝が測定するために帽子型の線量計装着ウェアを開発した(特願2005-46292)。この線量計装着ウェアを基に、平成17年度は線量計設置位置のデザイン変更を施し、国際出願(PCT出願)を行った。また臨床治験の準備を完了し、来年度以降に実際の医療機関での臨床治験を開始する予定である。
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