研究課題/領域番号 |
15510046
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
加藤 琢磨 三重大学, 医学部, 助手 (60224515)
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研究分担者 |
及川 佐枝子(多田 佐枝子) 三重大学, 医学部, 日本学術振興会特別研究員
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キーワード | 内分泌かく乱物質 / トリブチル錫 / Th1 / Th2 / 気道炎症 / アレルギー / IL-10 / IL-12 |
研究概要 |
[目的]本研究では、平成13-14年度基盤研究(C)「内分泌かく乱物質の免疫毒性作用とその毒性発現機構の解明」において明らかにしたトリブチル錫(TBT)のin vitro、in vivoにおけるナイーブT細胞からのTh1分化抑制とTh2分化促進によるTh2型免疫応答の増強作用が、Th2のエフェクター機能を負に制御する分化の完了したTh1および制御性T細胞の機能低下によってさらに増幅されている可能性を検討し、あわせてTh2型免疫よって誘発・増強される気道炎症を増悪させている可能性について検討を加える。 [現在までの研究成果] 1.TBTは分化の完了したTh1とTh2細胞に対して共にアポトーシスを誘導するものの、Th2はTh1に比較してTBTによるアポトーシス誘導に抵抗性を示した。細胞内GSHは、種々の細胞のアポトーシス抵抗性に関与することから、多数のTh1クローンとTh2クローンの細胞内GSHを比較したところ、Th2クローンはTh1クローンに比較して高い細胞内GSHレベルを有していた。細胞内GSHレベルに逆相関して、TBT処理により細胞内のReactive Oxygen Species (ROS)の一つである過酸化水素(H202)濃度がTh1クローンで高く、Th2クローンで低かった。これらの結果から、Th2は元来GSHレベルが高いために、TBTによって誘導されたROSが分解され易く、ROSを介するアポトーシスに対して比較的抵抗性を示すことが示唆された。 2.アレルギー性疾患の一つである気道過敏症に対するTBTによる病態増悪作用の有無を、気道過敏症マウスモデルを用いて検討した。TBT投与より気管支肺胞中のIL-5と血中のIgEの増加に伴って、気管支肺胞中の好酸球数が増加し、気道炎症の増悪作用が認められた。この結果から、TBTはアレルギー性疾患増悪に関与していることが示唆された。
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