研究課題
基盤研究(C)
本研究では、平成13-14年度基盤研究(C)「内分泌かく乱物質の免疫毒性作用とその毒性発現機構の解明」において明らかにしたトリブチル錫(TBT)のin vitro、in vivoにおけるナイーブT細胞からのTh1分化抑制とTh2分化促進によるTh2型免疫応答の増強作用が、Th2のエフェクター機能を負に制御する分化の完了したTh1および制御性T細胞の機能低下によってさらに増幅されている可能性を検討し、あわせてTh2型免疫よって誘発・増強される気道炎症を増悪させている可能性について検討を加えた。TBTはTh1とTh2細胞に対して酸化ストレスによるアポトーシスを誘導するものの、Th2はTh1に比較してTBTによるアポトーシス誘導に抵抗性を示した。細胞内GSHは、種々の細胞のアポトーシス抵抗性に関与することから、多数のTh1クローンとTh2クローンの細胞内GSHを比較したところ、Th2クローンはTh1クローンに比較して高い細胞内GSHレベルを有していた。細胞内GSHレベルに逆相関して、TBT処理により細胞内のReactive Oxygen Species (ROS)の一つである過酸化水素(H2O2)濃度がTh1クローンで高く、Th2クローンで低かった。これらの結果から、TBT曝露によりTh2優位性が誘導された個体に於いて、Th1選択的なアポトーシス誘導によりTh2型免疫がさらに増幅される可能性が示唆された。そこで、Th2型免疫より発症・増悪されるアレルギー疾患に対するTBTによる病態増悪作用の有無を、気道過敏症マウスモデルを用いて検討した。TBT投与より気管支肺胞中のIL-5と血中のIgEの増加に伴って、気管支肺胞中の好酸球数が増加し、気道炎症の増悪作用が認められた。この結果から、TBTはTh2型免疫の増強・増幅を介してアレルギー疾患増悪に関与していることが示唆された。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (17件)
Journal of Experimental Medicine 201
ページ: 681-685
Cancer Science 96
ページ: 157-163
Proceedings of the Natural Academy of Science, USA (印刷中)
臨床免疫 43
ページ: 106-111
The Lipid 16
ページ: 32-40
Proceedings of the Natural Academy of Science, USA (in press)
European Journal of Immunology 34
ページ: 1312-1321
アレルギー科 18
ページ: 393-401
Cancer Immunity 3
ページ: 16-29
Circulation Research 93
ページ: 948-956
Proceedings of the Natural Academy of Science, USA 100
ページ: 10902-10906