研究課題
1)マウス単機能型チミングリコールグリコシラーゼ活性の精製のために、肝臓に代えて、複合機能型酵素(mNTH1およびmNEIL1)に対するその相対活性が高い胃及び脾臓を用いた。これら臓器の単離核の高張液処理により核抽出液を作成し、ヒドロキシアパタイトおよびUNO-Sカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。UNO-Sカラム画分を、SDS-PAGEおよび二次元電気泳動により解析し、その量が活性と相関する候補バンドおよびスポットを選んだ。次に、カラム活性画分をTCA沈殿により濃縮し、SDS-PAGE後、ナイロンメンブレンに転写した。この方法で分離された候補活性は、肝臓を用いた従来法では分離が不十分であったmNTH1、mNEIL1およびAPEとほぼ完全に分画されることが確認された。候補バンドおよびスポットを選択し、MALDI-FTICRによる解析を行い、そのMASCOT解析のProbability Based Mowse Scoreが高いものを10個選び、初めにその細胞内分布(PSORT II解析による)、等電点および分子量がこれまで得られた結果から予測されたものに近い未同定の3個の候補(NCBIデータベースXP_140547、BAB_32018、XP_359164)についてクローニングを試みた。これらのうち、BAB_32018およびXP_359164は、期待されるサイズのRT-PCR増幅産物が得られなかった。また、XP_140547の5'端ヒスチジンタグ付加組換えタンパクの活性はみられなかった。そこで、さらに非選択的な候補タンパクのクローニングを試みるとともに、BAB 32018のRT-PCR条件を検討中である(ASM conference on DNA repair and mutagenesis, 2004において発表)。2)細胞内DNA中の酸化損傷由来の脱塩基(AP)部位を解析するために、Fluorescent-ARP (FARP-1)を新たに開発し、DNA抽出を必要としないFCMによる定量法を開発した。さらに、本法による、細胞内AP部位の感度、特異性、定量性は細胞内塩基除去修復機構の解明のために充分なものであることを秋からにした(ASM conference on DNA repair and mutagenesis, 2004において発表)。3)総括:本研究はマウスの単機能型チミングリコールDNAグリコシラーゼ活性の存在を明らかにし、その酵素タンパクのカタログを作成した。さらに、細胞内AP部位定量法を開発した。
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放射線生物研究 39・4
ページ: 396-407
J.Radiat.res. 45・2
ページ: 229-237