研究概要 |
実験1.鬱モデルマウスや触覚過敏マウスでは、身体に軽い接触刺激を与えると過敏な応答行動を起こす。この異常行動を定量する目的で、接触刺激応答計測装置を試作し、ダイオキシン轡モデルマウスと、隔離ストレス鬱モデルマウスを使用して触覚刺激に対する応答を実測し、機器の特性を試験した。その結果、本機器は、鬱動物のスクリーニングおよび鬱症状の定量化に極めて有効であると評価できた。本機器は抗鬱薬の効果を時間経過を追って計測する場合などに極めて有用である(特願2007-106303)。 実験2.雌マウスに2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)を投与し交配して産仔を得、第二次性徴期にノーズポーク試験を行った。TCDD周産期暴露産仔は、対照群産仔に比較して、探索行動が少ないことが明らかになり、TCDDの周産期暴露により第二次性徴期の探索行動が障害される可能性が強く示唆された。 実験3.妊娠雌マウスにTCDDを投与し、産仔を生後12週まで行動学的に追跡した。TCDD周産期暴露産仔には、鬱モデルマウスの異常行動と酷似する行動異常が出現した。異常行動は、雄産仔において生後7週末から8週に増大し、その後長期間継続した。雄産仔では、TCDDの周産期暴露により、young adult期に鬱様症状が発症することが明らかになった。 実験4.正常な雌マウスにTCDDを経口投与したあと交配し、産仔を得た。胎盤・母乳を介してTCDDを摂取した産仔を21日間母乳飼育し、その後4週間の隔離飼育を行ったあと、還流固定を行い脳切片を作製し、c-Fos抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。高用量TCDD投与マウスから生まれた雄産仔の青斑核にはc-Fos蛋白の発現が見られたが、その絶対数は少なかった。
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