研究概要 |
ペルオキシダーゼ(POD)-過酸化水素系において、PODを用いて、中性かつ室温で迅速にアゾ色素が退色し,染色布を変退色せず、さらに、繊維の脆化を少なく移染を防止する方法として、洗濯用酵素漂白剤の開発のための研究を行っている。 本研究では,もみがら由来PODを用いた場合の色素(オレンジII)の分解条件を検討したところ,室温では西洋ワサビ由来PODと同様の反応性を示し,最適反応条件はもみがら由来POD3.4x10^<-7>M, pH9.0,室温(20℃)と決定した。 一方、反応温度80℃において、西洋ワサビ由来POD,菌由来PODの退色速度が著しく減少するのに対し,もみがら由来PODは退色速度が著しく増大した。このように,もみがら由来PODは他のPODと比較して,反応温度の影響が正に大きく,高温に対して安定性が高いことがわかった。 また、もみがら由来PODを用いた反応において、界面活性剤を添加しても退色反応に大きな影響はなく、さらに反応温度60℃でも有効に働くことが認められ、もみがら由来PODを用いた反応はランドリーの条件に適することがわかった。 また、移染防止実験を行った結果、界面活性剤を添加した場合、もみがら由来PODのみの場合より大きな効果を示すことがわかった。 酸素系漂白剤である過炭酸ナトリウムを共存させると,退色速度の増大が認められ,色素の退色率が100%近い値となり,色素の分解反応がより効果的に進行することが明らかとなった。
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