研究概要 |
ペルオキシダーゼ(POD)-過酸化水素系において、PODを用いて、中性かつ室温で迅速にアゾ色素が退色し,染色布を変退色せず、さらに、繊維の脆化を少なく移染を防止する方法として、洗濯用酵素漂白剤の開発のための研究を行っている。 昨年の結果から,もみがら由来PODを用いた場合の色素(オレンジII)の分解条件を検討したところ,室温では西洋ワサビ由来PODと同様の反応性を示し,最適反応条件はもみがら由来POD3.4x10^<-7>M,pH9.0,室温(20℃)となったことから,この条件下での反応過程の検討を行った。その結果,得られた反応中間生成物は極めて微量でLCの分析でも極めて僅かであり分析されなかったため,MSの分析には至らなかった.従って,分析方法の再構築が必要である. また,より実用化への段階へと発展させるために,バイオマス資源であるモミガラからの効率的なPODの抽出法の検討を行った.本研究ではまず主に直接的にモミガラを用いて粗酵素の状態と標準試薬との比較から,実用上の使用可能なPODの精製段階を確定するために,抽出時間等の検討を行った.もみがら由来PODの活性をグアヤコール法で測定し,最も活性が高かった抽出時間などを標準条件と決定し,粗酵素を得た.もみがら200gから得られた粗酵素の総活性は3680Uで,ポリフィリンの濃度に換算すると2.7×10^<-8>Mとなった. 昨年度得られた反応条件に対応させると,粗酵素の濃度は若干低濃度であるので,粗酵素の抽出法の再検討,濃縮法の検討,または反応条件の再構築のいずれかが必要であることが分かった.
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