研究概要 |
活性汚泥を沈殿させ、自然に圧密させた層をろ床として用いるろ過法は、低損失水頭で従来の緩速砂ろ過法のように微小粒子を分離除去できるとともに、活性汚泥を用いていることより同時に溶解物質の除去もできると考えられ、10m/日以下の低いろ過速度であれば、緩速砂ろ過法の凡そ10%の損失水頭で操作できることが明らかにされた。この結果を基に本研究では、数10m/日のろ過速度で操作した場合の汚泥床の安定性、SS除去率および阻止粒子径の特徴などSS除去特性について実験的検討を行った。 実験装置は、透明塩化ビニル樹脂製円筒(内径52mm、有効高さ500mm、有効容積1.1L)の底部から高さ50mmの位置に金網(10メッシュ)と多孔質シート(ろ過抵抗は無視小)を設置し、その上部に厚さ約5cmの沈殿汚泥層を形成させた。原水として、約10mg-SS/1に調整した活性汚泥懸濁液を上部から連続供給し、ろ過速度を20,30,40m/日で変化させてろ過実験を行い、処理水SS濃度及びSSの粒径分布を測定した。SS濃度は下水試験法の濁度測定法に基づいて球面積分計付の吸光度計を使用して測定し、SSの粒度分布はレーザー回折/散乱式粒径測定装置を用いて測定した。以下の結果が得られた。(1)ろ過速度凡そ20m/日までは、処理水のSS濃度はろ過速度によらず凡そ1mg/1以下まで除去された。(2)また、処理水中のSSの粒度分布は10μmにピークがあり、大粒子は除去されたが5μm程度の粒子の流出が見られた。(3)損出水頭は10cm-H2O程度であった。(4)ろ過速度40m/日では、数時間は処理水中のSS濃度は1-2mg/1であったが、その後はSS濃度が次第に増加した。(5)そのときの処理水中のSSの粒度分布は、粒子径100μm以上にピークが見られた。(6)これは、汚泥床が塔の壁面から中心部へ押され、付着力よりも剪断応力が大きくなり、剥離のような現象が起きていることによると考えられる。(7)損失水頭は、ろ過速度40m・d^<-1>て15cm-H_2O-20cm-H_2Oであった。(8)窒素除去は可能であったが、印加電流を大きくすると汚泥床が膨張するように見られた。
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