研究課題/領域番号 |
15510072
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
木村 正信 岐阜大学, 農学部, 助教授 (30108063)
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研究分担者 |
肥後 睦輝 岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (80198994)
篠田 善彦 岐阜大学, 連合大学院・農学研究科, 教授 (50021712)
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キーワード | 粉砕チップ / 斜面緑化 / マメ科植物 / C / N比 / フェノール性水酸基 |
研究概要 |
廃材をチップ化して、植物の生育基盤材として吹き付けた緑化斜面を対象に、植生調査と吹き付けチップに含まれる各種成分の定量分析を実施した。その結果、植生による被覆率(緑被率)は吹き付け1年経過後で34%、2年経過後で69%、3年経過後で79%となり、種子吹き付けしたマメ科植物を中心に植生回復が順調に進んでいることがわかった。ただし、周辺からの木本類の侵入は緑被率50%を境に著しく異なり、50%以上の緑化斜面では侵入木本密度が50%以下の斜面に比較して1/4程度にとどまることが判明した。また、方位別には南向き斜面での植生回復が遅れており、この原因として夏季の乾燥が考えられる。 チップ含有成分を定量分析した結果、アルカリ抽出物およびリグニンが吹き付け後の経過年数につれて若干の減少傾向を示した。通常、木材の腐朽に伴って両成分は増加すると言われているが、斜面では雨水や表面流による溶脱が生じたためと考えられる。腐朽の程度を示す指標であるC/N比を調べた結果、吹き付け後2年を経過した頃からC/N比の減少が確認された。吹き付け斜面の立地条件によって異なるものの、おおよそ2年経過後からチップの分解が加速されると推察される。また、チップに含まれるフェノール性水酸基による初期段階での生育阻害は確認されなかった。 周辺からの植生侵入に関して、吹き付け後の早い時期から草本類の侵入が確認されたのに対して、木本類の侵入にはタイムラグが生じていた。吹き付けチップの窒素含有率が相対的に低いことが原因として考えられるが、この点については継続調査が必要である。
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