研究概要 |
複数のエネルギ機器からなるエネルギプラントの最適運転の解析方法については,伊東ら(1998)の研究が代表的である。しかし,個別・集合住宅では頻繁に生じるであろう,エネルギ機器の部分負荷運転時でのエネルギ効率低下への対応策や,負荷変動に伴うエネルギシステムの運転コストの解析などについては調査が至っておらず,本研究の目標が達成されると,より現実的で高精度のシステム設計が可能となる。特に,燃料電池コジェネレーションシステムの寒冷地での利用に関しては,電主熱従のシステム設計では熱不足となることが明らかとなっていることから,本研究では,土壌熱源ヒートポンプを統合して未利用エネルギの活用を詳細に調査する。 エネルギ需要量の負荷変動を伴う個別・集合住宅用の燃料電池コージェネレーションシステムに,自然エネルギや未利用エネルギを活用する他のエネルギ機器を統合して運転する場合に,それぞれのエネルギ機器の最適な容量設計とそれらの運転動作の最適化について論じた研究報告は例がない。そこで燃料電池コジェネレーションシステムと,土壌熱源ヒートポンプ,太陽光発電,太陽光集熱,蓄熱槽,補助ポイラなどのエネルギ機器を組み合わせて運転する際の,運転動作とエネルギ出力の特性について解析するシミュレーションプログラムの開発を行った。特に本研究では土壌熱源ヒートポンプと燃料電池コジェネレーションの複合システムについて着目し,目的関数を運転コストの最小化及び炭酸ガス排出量の最小化として,北海道地方での平均的な住宅でのエネルギ消費パターンを導入した時の,エネルギ自律を実現する住宅での各機器の容量と運転動作の最適化について明らかにした。 さらに,エネルギ機器の動特性から,寒冷地住宅でのエネルギシステムの機器構成,設備容量,運転方法を明らかにすることのに成功した。
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