研究概要 |
(1)重金属および無機化合物の吸着実験・解析 ヨシ生育地域の土壌を視野に入れるために、砂および粘土について、Cu、KNO_3の吸着特性を分析する目的でバッチおよびカラム実験を行った。砂に対する吸着量は、Langmuir型、粘土のそれはFreundlich型により推定されることが明らかになった。さらに、風化度の基準として強熱減量を採用すると、この値と吸着量が比例する関係を得た。つまり、吸着式と強熱減量の関係式を組み合わせると各種の土に対する吸着量が推定できる。 (2)重金属および無機化合物の破過曲線の計測・解析 炭を用いた砂層の水質浄化実験では、炭を砂に混合するよりも砂層の中に炭層として埋設しそこに水を浸透させた方の効果が高いことがわかったが、含有率との関係については、さらに追跡実験を実施中である。また、移流・分散解析に必要な分散係数は、Cuのカラム実験を試み破過曲線に対しCurve fitting法を適用する手法から決定することができた。とくに、土中のCu濃度は、反射型光ファイバーセンサにて精度よく計測することが可能となった。 (3)ヨシによる栽培吸収実験 コンテナにCu、KNO_3の0.1%濃度の砂層を作り、その中にヨシを栽培し吸収実験を行った。Cu,KNO_3の濃度は、導電率計によりヨシの根による吸収力はサクション計により計測した。Cu,KNO_3の濃度は、根の近傍では栽培時間の増加により急激にそれぞれの濃度の増加が観測できた。つまり、根が水分を吸収することにより、土、水中に溶解した重金属、無機化合物類に対してヨシによる集積が可能であることが示された。さらに、サクション値の昼と夜との著しい違いは、ヨシによる水の活発な吸収力を現すものである。そこで、このサクションを外力として、Cuの土中移動について2次元の移流・分散のFEM断面解析を試み、測定値と解析値とを比較した結果、ほぼfittingできたことから解析方針とパラメータの評価が正しいと判断できた。これに基づいて、栽培時間20、50(h)Cu濃度分布を検討したところ、栽培時間の増加と共に土中のCuがヨシめ根元に向かって集積していることが解析結果からも、裏付けることができた。
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