平成15年度(初年度)に行った研究で得られた成果は以下の通りである。 1 洗浄剤注入法に関する情報収集 洗浄剤注入法についての過去4年間の文献を調査し、その内容について比較検討を行った。実験室内での基礎的な溶解現象に関する測定から土壌カラムを利用したパイロットスケールの検証実験まで様々なタイプの研究が行われており、塩入効果による飽和溶解度の上昇の他にミセル可溶化やエマルジョン化など様々なタイプの溶解度変化が利用されていること、対象物質としてはトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンのような有機塩素系溶剤の他に多環芳香族化合物の検討が行われていることなどが分かった。しかし洗浄剤の選択については経験的な選択が多く、どのような対象物質にはどのタイプの洗浄剤が適しているのかなどの研究例は見られなかった。また洗浄効果の検討も特定の一濃度での測定が多く、洗浄効果の内容について詳細な検討を加えられるような研究はほとんど見られなかった。 2.バッチ法による飽和溶解度の変化の検討 本年度は洗浄剤注入によるトリクロロエチレンの溶解度の変化の影響を4種の陰イオン性界面活性剤、8種の非イオン性界面活性剤、1種の陽イオン性界面活性剤、5種の高分子量有機化合物について調べた。従釆から多環芳香族化合物の溶解度上昇などが報告されている幾つかの非イオン性界面活性剤やフミン酸などで変化が見られないなど、洗浄剤の選択には対象物質とのマッチングが必要であることが明らかとなった。今後はテトラクロロエチレンやベンゼン、トルエンなどの他の有機溶剤についても検討を行い、選択性を支配する因子を検討していく予定である。
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