研究概要 |
酸化チタンコーティング材料に太陽光が照射されると、酸化チタン表面の光誘起超親水性現象により、材料が壁など垂直面であっても散水を行うと、薄い水膜が形成する。この薄い水膜は、少量の水を散水するだけで現れる。この酸化チタン材料表面の水膜を都市部における建物表面に形成し、散水した水が蒸発する際の蒸発潜熱を利用して、夏季における建物表面、周辺大気冷却の効果を得て、都市温暖化現象を緩和するひとつの方法として研究を行った。 昨夏、3階建てビルの2,3階に酸化チタンをコーティングした光触媒メッシュシートを壁面からおよそ80cmの位置に外付けブラインドのように設置し、そのメッシュ表面温度や壁面温度、室内温度などを測定した。その結果、水を散水しない場合との比較において、メッシュ表面温度で、7.5℃、壁面温度で2.8℃、室温で約2℃の冷却効果が得られた。このシステムは、水分蒸発促進と建物冷却による省エネという2つの点において都市温暖化緩和に貢献できると考えている。 また、この酸化チタン材料表面に散水したときに形成する薄い水膜を利用して、脱臭効果を得ようと研究を行った。すなわち、畜産臭気は、アンモニアや硫化水素など水に溶けやすい気体である。この気体を水膜に溶け込ませ、脱臭しようというものである。実際の豚飼育小屋の前に上記と同様の光触媒メッシュシートを張り、散水した結果、アンモニアガス濃度が検出限界まで減少した。 このように、酸化チタン表面の光誘起超親水性を用いた環境改善についてフィールドテストを行い、一定の効果が得られた。
|