研究課題/領域番号 |
15510086
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
SLUTER Marcel 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70292266)
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研究分担者 |
西松 毅 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70323095)
水関 博志 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00271966)
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
佐原 亮二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30323075)
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キーワード | 金属内包シリコンフラーレン / シリコンナノチューブ / ナノクラスター / ナノテクノロジー / ナノ構造体 / 第一原理計算 / 材料設計 / 機能性材料 |
研究概要 |
分子や結晶の理論設計用に用いられる第一原理計算は通常、擬ポテンシャルを用い平面波展開によっている。本研究では全電子全ポテンシャル法を原子軌道と平面波の組合せを基底関数とすることで実現し、それを金属内包シリコンフラーレンに適用した。最近、金属内包シリコンクラスターに対する実験及び理論的研究が盛んに行われるようになっている。この研究の発端は、2001年に筑波大学の研究グループが実験と理論計算により,タングステン内包シリコン12量体が6面の柱状体であり極めて安定であることを見出したことである。本研究ではより対称性が良く、安定な構造体の網羅的探索を行い、さらに水との反応性およびシリコンクラスター1個を単量体とした時の多量体の物性について調べた。 金属内包シリコンクラスターと水分子との反応性ではシリコンの数が増えるにしたがい、水分子との反応性が弱まることがわかり、分子研グループによる実験結果を良く再現していた。これら実験およびシミュレーション結果は金属がシリコンに内包されていることを強く支持し、質量分析だけでは得られないクラスターの構造に関する重要な知見を得ることができた。 多量体に関する計算では、例えば、ZrとTiを内包したシリコン16量体2個を結合した擬似分子について計算を行った。Zr内包の場合では、結合長2.52Åでフラーレン構造を保持しながら結合し、次々と同様の操作を行えば金属内包シリコンナノワイヤーを構築できる。一方、Tiでは、結合はファンデルワールス的で弱く、クラスターは安定して存在するため、クラスターの独自性を保ったまま自己組織化を行わせることが出来る。同様に、磁性を持つ金属内包シリコンクラスターを自己組織化させれば、ナノ磁気記録媒体の創製が可能となることを示すことができた。
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