本研究は反強磁性体ナノ構造という共通項で高温超伝導関連物性とナノ粒子応用磁性を研究する。 我々は物質的な側面を重視し、高温超伝導物質群の共通構成元はCu(II)-Oであり、2価の磁気スピンを持つCuOが基本物質であるというアプローチで銅酸化物系の超伝導関連物性を研究してきた。その結果、単純組成のCuOバルク結晶においてチャージ・ストライプを発見し、CuOのローカルな局所原子配置が強い電荷・スピン・格子の相関を生み出していることを明らかにした。これとは独立に、〜10nmのCuOナノ粒子において高温超伝導体で観察されたスピングラス特性を発見した。従って高温超伝導体のスピングラス異常はストライプ化した高温超伝導体中に存在するナノ反強性体ドメイン(一種のナノ粒子)によると推測している。 初年度のH15年度でも確実に成果を挙げており、Physical Review Bに3編、Solid State Communicationsに2編、Applied Physics Lettersに1編を掲載している。 CuO系においてはLi置換によるホールドープを行い、ホールドープによる反強磁性の急速な減少を観察した。また、単純構造のCuOにおいて(単純構造ゆえに元素置換の達成が難しい)初めて高濃度ドープに成功した。高濃度ドープによって電荷秩序の生成が観察できた。 さらに天然の銅酸化物アタカマイトに反強磁性を見出した「研究発表リスト参照」。
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