研究課題
基盤研究(C)
本研究では液晶という動的な秩序形成を利用して、生体での自己組織化をモデルとした複数分子の配列制御によるナノ・ミクロ構造の構築を目指した。即ちアデニンとチミンの液晶性誘導体を分子材料として下記のような超分子によるナノ・ミクロ構造の構築を明らかにした。1)アデニンとチミンなどの液晶性誘導体を初めて合成し、それらを塩基対形成することで液晶性を制御することを述べた。アデニンとチミンの液晶性誘導体の塩基対形成は液晶範囲を大きく広げ、またコレステリックガラスを造った。それらと他の分子との超分子会合体を研究した。両端がアデニンの分子とチミンの液晶性誘導体との会合体の液晶はチミンの液晶性誘導体の液晶と似ていたが、両端がチミンの分子とアデニンの液晶性誘導体との会合体はアデニンの液晶性誘導体の液晶性とは全く異なった。このことは分子の組立てる順序で液晶性が変わることを示す。2)チミンの液晶性誘導体とアントラセンの会合体は、チミンの液晶性誘導体のみの場合と異なり特異な結晶を造ることを述べた。その液晶状態がIRの温度変化から明らかにされた。シトシンの液晶性誘導体とアントラセンの会合体も同様の特異な結晶を造った。またアデニンとチミンの液晶性誘導体、アントラセンの会合体はらせん構造を造りながら結晶成長した。その液晶状態もIRの温度変化から明らかにされた。自然界においてらせん構造は一般的に知られており、それは最も基本的な自己組織化といえる。そのらせん結晶成長は液晶伏態においてアデニン誘導体とチミン誘導体の塩基対形成の後に、末端のコレステロール部位へのアントラセンの挿入による会合体形成することにより可能となる。生体での自己組織化においては、分子AとCまたBとCはそれぞれ単独では会合しないが、AとBが会合した後ではCと会合することが可能となることがある。上記の研究では分子AとBはアデニンとチミンの液晶性誘導体で、それらが塩基対形成することで、分子Cのアントラセンと会合し、らせん構造を造りながら結晶成長するというビルドアップ型ナノ構造の構築が述べられた。
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