研究課題/領域番号 |
15510098
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
豊田 太郎 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (40217576)
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研究分担者 |
沈 青 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (50282926)
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キーワード | 半導体ナノ粒子 / TiO_2ナノ粒子 / SnO_2ナノ粒子 / ZnOナノ粒子 / 複合化ナノ粒子 / 光吸収 / 光電流 / 光電流過度応答 |
研究概要 |
1.酸化物半導体ナノ粒子集合体電極の作製と評価 本年度は(1)TiO_2ナノ粒子と、(2)SnO_2とZnOナノ粒子を複合化(SnO_2/ZnO)した2種類の光電極の作製を行い、それらの光吸収評価と電子移動評価を行った。その結果、(1)と(2)の系では形成ナノ粒子の粒径の違いによる表面モルフォロジーが、光吸収と電子移動に大きく影響することが判明した。(1)の系では光音響信号の大小と光電気化学電流の大小が逆転しており、電流に寄与しなかった励起電子は無輻射緩和に寄与することが示唆される。(2)の系ではZnOの混合量増加とともに光音響信号と光電気化学電流が共に増加するが、後者では最大値を示す最適混合率(75%)があることが見出された。 従来分光増感には有機色素系が適用されていたが、本研究では半導体量子ドットを吸着する分光増感を試みた。本年度は化合物半導体CdSe量子ドットの吸着を試みた。その結果(1)の系では最適な粒径を持つCdSe粒子ドットを吸着することで、最大35%の量子効率(電流変換)を達成することが出来た。この系に高速過渡回折格子法を適用した結果、CdSe量子ドット内で励起された電子系には3種類の無輻射緩和(正孔の表面への移動、電子のTiO_2への移動、TiO_2中の電子移動)あることが判明した。 2.Mnを不純物として含むZnSナノ粒子系(ZnS : Mn)の作製と評価 本年度はZnS : Mn系を溶液中分散法で作製し、アクリル酸吸着効果の検討を行った。その結果、蛍光強度には最適吸着濃度が存在することを示した。蛍光強度の紫外線照射時間依存性は、アクリル酸吸着量が増加するにつれて緩やかな増加を示した。一方光音響信号強度の時間依存性は、吸着量が増加するにつれて急激な減少を示した。これらの事実は、紫外線照射によるアクリル酸の高分子化と表面保護効果の増大、あるいは光化学反応によるZnS : Mn表面改質が示唆される。
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