研究課題
基盤研究(C)
本研究では、複数の分子の存在により機能発現ターゲット分子の特異的な認識が可能な人工レセプターについて検討した。本研究を行うためには、ターゲット分子に対する認識場を構築後、一度その機能を破壊し、さらに再構築が可能なシステムの構築が必要となる。レセプターの合成法として、テーラーメイド的に認識場を構築できるモレキュラーインプリンティング法を用い、シンコニジンをターゲット分子としたインプリントポリマーの開発を行った。【実験】レセプターの合成:ターゲット分子(二重結合を還元し、メタクリロイル化したシンコニジン)、認識場構成分子(側鎖をメタクリロイル化したポルフィリン亜鉛錯体(II))、架橋剤(ジビニルベンゼン/スチレン)、重合開始剤(ADVN)をベンゼンに溶解させ、熱重合を行った。その後加水分解と洗浄により、ポルフィリンとシンコニジンの切り出しを行った。認識場の再構築とターゲット分子の再結合実験:ポルフィリンの切り出したポリマーをテトラピリジルポルフィリン亜鉛(II)錯体溶液中で撹拌して、ポリマーに結合させた。シンコニジンおよびそのジアステレオマーであるシンコニンのベンゼン溶液中でそれぞれ3時間撹拌した。上清の吸光度変化からポリマーに対するそれぞれの吸着量を算出した。【結果と考察】ポルフィリンとシンコニジンの切り出しを行ったインプリントポリマーへのテトラピリジルポルフィリン亜鉛(II)錯体が吸着されたことから、ポルフィリンが、加水分解によってできた四つのカルボキシル基と水素結合し、シンコニジン認識場を再構築していることが示唆された。シンコニジン認識場を再構築後、シンコニジンは、シンコニンに比べ1.7倍多く吸着した。この結果から、単に水素結合と軸配位によりCDが吸着されているというだけでなく、その3次元的な配置までもがジアステレオマーを認識可能なほどに再現的に構築されたことがわかった。
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