研究課題/領域番号 |
15510106
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
脇田 和樹 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (80201151)
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研究分担者 |
マメドフ ナジム 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (60305654)
芦田 淳 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (60231908)
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キーワード | ナノワイヤー / CuInS_2 / 光学ギャップ / 分光エリプソメトリー / TlInSe_2 |
研究概要 |
化学処理方法によって合成したCuInS_2ナノワイヤーの構造および分光エリプソメトリー法による光学的特性を調べ新たな光学ギャップ評価法を示した。300℃で作製した生成物(試料A)は焦げ茶色をしており、一方280℃による生成物(試料B)は黒色であった。試料A内に存在するナノワイヤーは直径30-100nm、長さは数ミクロンである。一方、試料Bでは厚さ30-50nm、幅200-500nm、長さ数ミクロンのベルト構造を観察した。それぞれの粉体試料をプレスしエリプソメトリー用測定試料を作製した。測定結果から求めた擬誘電関数は2つの試料で異なるスペクトルを示した。ベルト型ナノワイヤーの擬誘電関数はCuInS_2バルク結晶の誘電関数と類似していることがわかった。また、光学ギャップ評価としてインコヒーレントエリプソメトリー解析による偏光度を調べた。偏光度のスペクトルより試料が粉体であるにもかかわらずそのバンドギャップを明確に求めることができた。ナノワイヤー試料では試料A,B何れの場合も1.51eVでありバルク結晶の値とあまり差異は観測されなかった。これは粉体内に存在するバルク的な断片試料の影響によると考えられる。さらに、ナノワイヤーの硬化を目的としてアニール実験も行った。700℃までのアニール温度ではナノワイヤーが残存することがわかった。 化合物ナノワイヤーとして一次元構造TlInSe_2結晶の直径30-50nmのナノワイヤーおよびナノ粒子作製にも成功した。ロッド型バルク結晶における電子状態の原子軌道一次結合による解析を行った。その結果、双極子近似においてT点のバンド端における光学遷移の選択則はe//cおよびe⊥c配置共に禁止かまたはe⊥c配置ではT_2とT_<10>間の許容であることがわかった。またTlInSe_2のゼーベック係数の測定を行った。200℃以下では大きな値を示し、最大で10^7μV/℃であった。得られた結果は200℃以下の温度で起こるインコメンシュレート超格子構造よって議論した。さらにTlInSe_2は熱電デバイス材料として非常に有望であることがわかった。
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