研究課題
基盤研究(C)
CuInS_2ナノワイヤーの化学的処理法による合成において、合成温度によりスレッドおよびベルト状ナノワイヤーとなることを明らかにした。また、ナノワイヤーの硬化を目的としたアニール実験により700℃までのアニール温度ではナノワイヤーが残存することがわかった。CuInS_2ナノワイヤーの光学ギャップを評価するためにフォトルミネセンスの測定を行い、バルクに比べて短波長領域でブロードな発光を観測した。分光エリプソメトリーを用いたインコヒーレントエリプソメトリー解析による偏光度を調べることにより、作製した試料の光学ギャップを明確に求める方法を確立した。しかし、我々の生成物にはナノワイヤー以外の副産物も含まれており、測定結果はナノワイヤー以外の副産物の影響も受けており、今後、ナノワイヤーの分離が重要な課題である。また、分光エリプソメトリーによるナノワイヤーの擬誘電率を初めて調べた。測定結果から求めた擬誘電関数はスレッドとベルト状ナノワイヤーの2つの試料で異なるスペクトルを示した。ベルト状ナノワイヤーの擬誘電関数はCuInS_2バルク結晶の誘電関数と類似していることがわかった。類似した化合物ナノワイヤーとして一次元構造TlInSe_2結晶の直径30-50nmのナノワイヤーおよびナノ粒子作製にも成功した。ロッド型バルク結晶における電子状態の原子軌道一次結合による解析を行った。その結果、直接ギャップのバンド端における光学遷移の選択則における知見を得た。この結果はエリプソメトリーにより求めた誘電関数やフォトルミネセンススペクトルの偏光特性をよく説明できることがわかった。また一次元構造TlInSe_2のゼーベック係数の測定を行った。200℃以下では飛躍的に増大することも見出し、最大で10^7μV/℃であった。得られた結果は200℃以下の温度で起こるインコメンシュレート超格子構造によって議論した。さらにTlInSe_2は熱電デバイス材料として非常に有望であることがわかった。
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