研究課題/領域番号 |
15510108
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研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
林 伸行 久留米工業大学, 工学部, 教授 (30318612)
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研究分担者 |
蓮山 寛機 久留米工業大学, 工学部, 教授 (00037962)
鳥山 保 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (40016176)
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キーワード | 磁性金属グラニュラー膜 / ナノサイズ超微粒子合金 / トンネル型巨大磁気抵抗効果 / Fe-Cu準安定合金超微粒子 / Fe-Co合金超微粒子 / 高磁気抵抗比 / 2種金属イオン共注入 / 内部転換電子メスバウアー分光 |
研究概要 |
イオン注入法による新たな超微粒子合金の創製技術の確立を目的とし、今年度は特にα-Al_2O_3中に於ける合金の微粒子形成過程とそのトンネル型巨大磁気抵抗効果(TMR)の仔細を明らかにする研究を行った。その結果、Fe、Coグラニュラー系では世界最高値と考えられる磁気抵抗(MR)比を得た。それらの内容は以下の通りである。 1)TMR効果の向上と発現機構。 TMR特性向上のための最適なイオン注入条件の確立を目的として、Fe、Coの総注入量及び相対注入量を変えたFe/Al_2O_3、FeCo/Al_2O_3、Co/Al_2O_3グラニュラー層を作製して磁気特性を調べた。その結果、Co濃度30%のFeCoグラニュラーにおいて室温でMR比13%の達成に成功した。このTMRは、Coとの合金化による鉄原子の磁気モーメントの増大と微小サイズのFeCo微粒子の分布によって起こることを内部転換電子メスバウアー分光測定(CEMS)等により考察した。 2)2種金属イオンの共注入による準安定合金超微粒子の創製。 エネルギー100keVでFe及びそれと非混和であるCuイオン注入によるAl_2O_3単結晶表層50nm下での合金超微粒子の形成について調べた。その結果、固溶するCu濃度は20-30%までであるものの、FeCu準安定合金の形成が認められた。他のCuイオンはfcc相銅微粒子となって鉄クラスターや基板に分散していると思われる。さらに、イオン注入によるこの準安定合金の形成は基板の種類によってその程度が変わることをSiO_2とAl_2O_3中の比較から見出した。この様な新たな知見はCEMSのほかX線回折やVSMによる磁化測定等により得られた。 3)成果の発信、発表。 以上により今後の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)等の実用化に向けて有用な技術的成果が得られた。但し、今後の特許請求や成果発表の資金が担保されておらず、苦しい状況にある。
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