研究課題
基盤研究(C)
申請者は表面プラズモンの増強電場による表面修飾分子の励起を蛍光分析に応用することを考案し、その有効性を実証したが、表面プラズモン電場がプラズモン媒体である金表面のナノ構造によって散乱局在化される研究が相次いで報告されたことから、表面プラズモン共鳴分光に使用されてきた厚さ50nmの金薄膜表面に光波長サイズの孔を多数あけたものをプラズモン媒体として用いることで、孔の内部に電場を局在化できるのではないかと考えた。すなわち、孔を蛍光分析の容器として応用するのである。との場合、孔の底部はガラス表面であるため、シランカップリング試薬によって各種の分子を多段階で修飾できるうえ、蛍光分析においては、蛍光標識試薬と金の距離が離れているため、プラズモン増強励起で最も問題となる金によるエネルギー移動を効果的に回避できることが期待される。口径500および600nmの孔をあけた金薄膜において全反射減衰照明による光透過を観測したところ、それぞれ550および650nm付近に透過光の極大がみられ、この波長の光で励起したプラズモンが効果的に孔によって散乱局在化されることが明らかになった。そこで、孔の底面に抗IgG抗体を修飾し、P-偏光532nmレーザ光を用いて導波路でプラズモン励起しながらテキサスレッドで蛍光標識した抗原であるIgG-TRおよび対照であるBSA-TRの溶液をそれぞれ孔の表面に滴下し、20個の孔からの蛍光をホトンカウンタで検出したところ、免疫反応を起こして結合するIgG-TRが数十秒で蛍光の立ち上がりを示しだのに対し、BSA-TRは全く立ち上がりを示さず、ナノスペースにおける蛍光免疫分析が実証された。塩基数15のオリゴヌクレオチドを用いた遺伝子分析も同様に成功した。孔の口径と配置を最適化することにより、プラズモンの局在を制御できると期待される。本研究の成果は現在用いられているマイクロアレイのスポットサイズをさらに数桁のオーダーで縮小したナノアレイを開発する端緒となると期待されるほか、μ-TASの検出部としての応用も期待される。
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