研究概要 |
最近,分子輸送,反応などの様々な化学プロセスを数ミリ角のガラス基板上に集積・チップ化する"Lab-on-a-Chip(LOC)"の研究が注目されている。LOCの実現には,複雑なポンプやチューブを必要とせずに極微量液滴を2次元的に操作するマニピュレーション技術が不可欠である。本研究は,我々が提案したレーザ超音波マイクロマニピュレータの高機能化と応用範囲の拡大を目的として行ったもので,15年度の検討結果を基に研究を発展させ,以下のような成果が得られた。 1.液滴の2次元マニピュレーション: UV接着技術を用いて12個のウエッジトラスジューサをガラス基板上に配置した構造のマニピュレータを試作し,SAWの周波数5.6MHz,トランスジューサの入力パワー37dBmで,約7mlの蒸留水液滴をガラス基板上でxy方向に移送する2次元マニピュレーションの実験に成功した。 2.視覚制御を用いた液滴の2次元マニピュレーションの検討: PCに画像処理ボードを組み込み、ビジュアルフィードバック技術を用いて液滴の2次元的マニピュレーションを行うためのシステムを完成させた。PCのGUI画面上で液滴の目標座標を指定すると,液滴が目標位置に移動することに成功した。 3.液滴の温度上昇の検討: マニピュレーションで生ずる液滴の温度上昇について検討し,既に報告されている50MHz帯の実験に比べて温度上昇が低いことを明らかにした。 本研究成果は,2005年9月にオランダで開催されるIEEE Ultrasonic Symposiumで発表する予定である。今後,研究期間内では行えなかったレーザによる相補的なマニピュレーションを研究していきたい。
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